「ぐっすり睡眠」の鍵は実は朝食にあった。
某Web新聞(電子版)を見てたらこんな記事がありました。
「ぐっすり睡眠」の鍵は実は朝食にあった。
またまた、微妙に好奇心をそそるタイトルです。
内容のポイントととしては
- 良質のよい睡眠をとるには、夜「メラトニン」というホルモンをしっかりと分泌させる必要がある。 (メラトニンには疲労回復の他に、認知症の軽減の働きがあると言われている)
- メラトニンには、暗くなると増え、明るくなると減るという性質がある。
- メラトニンは材料を摂取してから約14から16時間後に作られる。
- (3)の理由により、朝食に材料をしっかりとる必要がある。
- その材料とは「トリプトファン(アミノ酸の1種)」と「ビタミンB6」である。
それを摂取するための食べ物はというと。。。
<トリプトファンを多く含む食品>
- 大豆製品(豆腐・納豆・味噌・豆乳など)
- 乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズなど)
- 鶏卵、魚卵(タラコなど)
- ナッツ類(アーモンド・クルミなど)
- ゴマ、はちみつ、バナナ、白米など
<ビタミンB6を多く含む食品>
- 魚類(サケ・サンマ・イワシ・マグロ・カツオなど)
- ニンニク、牛レバー、鶏肉など
朝から無理ですよね、ふつうは。
えっ? みんなできます?(すごい!)
では、サプリメントにしよう!
なんて、安易に考えないでください。
特に「トリプトファン」
「トリプトファン」=「安眠剤」
のような意味合いで、市場にたくさん出回っています。(営業戦略だと思う)
トリプトファンはアミノ酸なので、メラトニン以外も生成されます。
コラーゲンサプリメントをとっても、1度アミノ酸にバラされるので、再びコラーゲンになるとは限らない。
という話を当センターで聞いた人もいるかと思います。
これと同じ理屈です。
メラトニンにしたいからといってトリプトファンサプリメントを過剰に摂取することは、メラトニン以外の物質も生成されてしまうという事です。
その1つに「キノリン酸」という物質があります。
この「キノリン酸」は強力な毒物であり、脳内の神経細胞を興奮させ、死滅させるというものです。
実際「ハンチントン病」という脳細胞が変性して死滅する遺伝病で、キノリン酸レベルが上昇していたという研究データもあるといいます(まだ仮説段階)
ただ「キノリン酸」はビタミンNADという身体に必要(重要)な物質を作る途中で勝手に作られてしまうものなので、単純に無しという訳には行かなそうです。
しかし、人体は凄いシステムなので、「キノリン酸」をすぐに無害に変えてしまう仕組みが、ちゃんと備わっています。
だからと言って、トリプトファンの供給量を不用意に増やし、脳内キノリン酸の生産量を増やしてしまうのも、いかがなものでしょうか。
糖の過剰摂取でインスリン(血液中の余分な糖を処理するホルモン)が処理しきれず結果、糖尿病になるように、「キノリン酸」を無害にするシステムも対応しきれなくなる可能性も考えられないことではありません。
また、睡眠障害が単にメラトニン不足によるものかも、しっかり解明されているわけではありません。
冒頭の記事ページには、さすがにトリプトファンサプリメント広告は見当たらなかったものの、記事を見た人はサプリメントを検討しているかも知れません。(今はネットで検索するだけで、通販ページとかすぐに見つかりますからね)
いやあ、それっぽい記事って怖いですね。
病院で出される薬は、警戒(副作用含めて)して飲まない人もいますが、サプリメントは副作用はないという前提ですから、飲んじゃいますよね。(上記のような間接的副作用のような考えは普通はしない)
やはり自然の食事(食材)から摂取するのが一番です。
なお、自然の食事(食材)からなので添加物のようなものは、極力ダメですよ。(私自身、カップラーメンなど食べてしまうので、強くは言いませんが)
どの栄養にしても、普通の食生活であれば問題ないと思いますので、サプリメントに頼り過ぎて、「過ぎたるは及ばざるが如し」にならないように気をつけましょう。
(少し、小難しくなりしたが、高いサプリメントを買うくらいなら、いいお肉を買って食べましょう! という事です)
参考文献:動的平衡(福岡伸一)